自宅が夫婦の共有・住宅ローンが夫婦の連帯債務の場合において、夫婦の片方のみが住宅資金特別条項付個人再生を利用することは可能です。
住宅資金特別条項付個人再生における住宅に関する要件として、個人再生をする者が所有する建物であることなどが必要ですが、単独所有している場合はもちろん、配偶者などと共有している場合も含まれます。
また、住宅ローンに関する要件として、住宅資金貸付債権であること、住宅ローン以外の担保権が設定されていないことが必要ですが、配偶者などとの連帯債務であっても問題はありません。
住宅資金特別条項付個人再生の要件については、下記の関連Q&Aもご参照ください。
【関連Q&A】
●住宅資金特別条項付個人再生をする場合の住宅に関する決まりは?
●住宅資金特別条項付個人再生をする場合の住宅ローンに関する決まりは?
一方で、住宅ローンの契約書には、連帯債務者のいずれかが民事再生(個人再生)などを行った場合には期限の利益(※)を喪失し、他の連帯債務者が一括返済の請求を受ける旨が定められていることが多いでしょう。
※期限の利益とは、住宅ローンの返済計画に従って分割返済を継続する限り、一括返済をしなくてよいという利益のことです。
しかし、民事再生法では、住宅資金特別条項付個人再生による期限の猶予は、他の連帯債務者にも効力を有することとされています(民事再生法203条)。
このような民事再生法の定めにより、夫婦の片方のみが住宅資金特別条項付個人再生を行っても、夫婦の他方も期限の利益が維持されて一括返済を求められることはありません。
したがって、期限の利益の点においても、自宅が夫婦の共有・住宅ローンが夫婦の連帯債務の場合において、夫婦の片方のみが住宅資金特別条項付個人再生を利用することに問題はありません。
なお、住宅ローンがペアローンの場合には、上記とは異なる考慮が必要となります。
詳しくは、下記の関連Q&Aをご覧ください。
【関連Q&A】
●住宅ローンがペアローンの場合、住宅資金特別条項付個人再生を利用することはできますか?