弁護士に自己破産、民事再生(個人再生)または任意整理を依頼すれば、まずは弁護士から債権者に対し、受任通知(弁護士が介入して借金・債務整理を行う旨の通知書)を送付することとなります。
自己破産および民事再生(個人再生)では、すべての債権者を対象として手続をしなければならないため、すべての債権者に対して受任通知を送付するのが原則となります。
任意整理では、任意整理の対象となる債権者に対して受任通知を送付することとなります。
そして、銀行などの金融機関に対して受任通知が送付され、その金融機関に預金口座がある場合には、すべて凍結されてしまいます。
ここで、給与振込先がその金融機関の預金口座となっている場合には、給与振込先を借金のない金融機関の預金口座(新規に預金口座を開設することも可能です)に変更できれば、給与の受け取りに支障が生じることを回避することができます(給与振込先を変更してから、受任通知を送付する段取りとなります)。
しかし、勤務先によっては給与振込先の金融機関が指定されており、変更が難しいということもあります。
そのような場合でも、ひと手間必要となりますが、振り込まれた給与の払戻をすることは可能です。
まず、前提として、預金口座が凍結された場合であっても、ほとんどの場合、給与はその預金口座にそのまま入金されます。
しかし、その預金口座は凍結されているため、振り込まれた給与をATMで払い戻すことはできません。
そのため、受任通知を送付したあと、給与の支給日までに弁護士がその金融機関の担当者と打ち合わせ、振り込まれた給与の払戻ができるように手配を行います。
金融機関によっては、振り込まれた給与の払戻のための上申書の提出を求められることもありますが、上申書の作成・提出も弁護士が対応します。
以上のような手配のうえで、ご本人が通帳と銀行印を金融機関の窓口に持参すれば(運転免許証等の身分証明書の提示を求められることもあります)、振り込まれた給与の払戻をすることができます。
なお、金融機関からの借金は、保証会社が入っていることも多く、その場合、自己破産、民事再生(個人再生)またはその金融機関を対象とする任意整理が始まれば、債権が保証会社に移行することとなります。
そして、債権が保証会社に移行したあとは(期間は受任通知を送付してから、1~3か月程度です)、預金口座の凍結が解除され、以前と同様にその預金口座を利用することが可能となります。
以上のような手続により、借金・債務整理をしていることが勤務先に知られることはありません。