自己破産は借金の免除を受けるための手続ですが、必ずしもすべての借金が免除されるとは限りません。
まず、免責不許可事由に該当し、その内容・程度が悪質であると判断される場合には、借金の全部または一部の免除が認められないことがあります。
ただし、よほど重大な事案でなければ、基本的には借金の免除が認められます。
また、免責不許可事由がある場合には、自己破産を断念して民事再生(個人再生)または任意整理を選択する判断もあり得ます。
また、所得税や住民税などの税金、国民健康保険料や国民年金保険料、地方自治体に強制徴収権のある下水道料金や保育料などは、免除されません。
これらの滞納がある場合には、自己破産の手続の終了後に、税務署や地方自治体に相談し、分割払いで支払っていくことになるのが通常です。
さらに、悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償の義務、故意または重大な過失により加えた人の生命または身体を害する不法行為に基づく損害賠償の義務、夫婦間の生活費・婚姻費用の支払義務、子どもの養育費の支払義務、従業員の給料、刑罰による罰金などは、免除されません。