手元の財産の評価額が20万円を超える場合などは、管財事件に割り振られて破産管財人が選任されます。
そして、破産管財人が破産者の財産を処分・売却し、債権者への配当などにあてることを目指すのが基本的な流れとなります。
しかし、破産手続開始決定後に取得した財産や、家財道具などの通常の生活用品は、処分・売却の対象とされず、手元に残せます。
また、「自由財産の拡張」の申立てを行うことで、一定の範囲の財産を、合計99万円まで手元に残せます。
自由財産とは、破産手続によって没収されずに、手元に残すことができる財産のことを言います。
手元に残すことができる財産の種類は、①現金・預貯金・積立金、②保険解約返戻金、③自動車、④敷金・保証金、⑤退職金、⑥電話加入権であり、合計99万円までとなります。
なお、③自動車については、購入額ではなく、査定評価額でカウントします。
④敷金・保証金については、契約上の金額から滞納賃料および60万円(明渡費用等)を控除した金額がカウントされます。
⑤退職金については、原則として、仮に現時点で退職する場合の支給見込額の8分の1でカウントします(ただし、例えば、退職金が近々支給されるような場合については、4分の1とするなど、事案に応じた評価が行われることがあります)。
この点、家計収支に相当程度の余剰が生じている場合や、対象財産が破産者の経済的再生のために必要とは言えない場合など、破産管財人や裁判所の判断で、自由財産の拡張の希望の全部または一部が認められないことが理論上はあり得ます。
しかし、多くのケースでは、自由財産の拡張の申立てのとおりに、99万円までの財産を手元に残すことが許可されますので、それほど心配する必要はありません。