ローン返済中の家を手放さずに借金の整理をしたい方はいらっしゃいませんか?
このページでは、ローンで購入した住宅を維持したまま、他の借金の返済負担を大幅に軽減できる「住宅資金特別条項付個人再生」についてご説明させていただきます。
住宅資金特別条項付個人再生
自己破産をする場合には、住宅ローンの免除を受けることができますが、住宅は競売にかけられるか、破産管財人が売却処分をするため、手放さなければならないのが原則です。
これに対し、民事再生(個人再生)においては、一定の要件を満たす場合には、住宅ローンに限って残高の減額をせずにそのまま返済を続け、住宅を手元に残すことが可能となる制度があります。
この制度のことを住宅資金特別条項付個人再生と言います。
自己破産によって住宅を失うことを避けたいとお考えの方は多くいらっしゃいます。
個人再生によって他の借金を圧縮できれば、住宅ローンの返済の継続が可能な収支状況である場合には、住宅資金特別条項付個人再生の活用を検討されるとよいでしょう。
住宅資金特別条項付個人再生の条件:住宅に関する決まり
住宅資金特別条項付個人再生の手続を利用するに当たっては、住宅について以下の要件を満たしていることが必要です。
個人再生をする者が所有する建物であること
「建物」は、マンションの区分所有権を含みます。
戸建ての場合には、「建物」を所有していることが必要であり、敷地のみの所有では足りません。
「所有」は、個人再生をする者自身が単独所有している場合のほかに、配偶者などと共有している場合も含みます。
個人再生をする者自身がその建物に居住していること
【要件を満たさないケース】
□専ら事業として使用している場合
□第三者に賃貸しており、個人再生をする者自身は別の所に居住している場合
□空き家になっている場合
【要件を満たすケース】
□個人再生をする者自身は単身赴任中で、家族が居住している場合
□現在は誰も居住していないが、将来的に個人再生をする者自身が居住することが明らかな場合
自宅兼店舗・自宅兼事務所・二世帯住宅の場合
自宅兼店舗・自宅兼事務所であれば、床面積の2分の1以上に相当する部分を、個人再生をする者自身の住居として使用している必要があります。
また、玄関や台所などが別々で物理的にそれぞれの住居が独立している二世帯住宅であれば、個人再生をする者の居住部分が床面積の2分の1以上であることが必要です。
以上に該当する建物が複数ある場合
個人再生をする者が所有する居住用建物が複数ある場合には、主として居住している建物であることが要件です。
住宅資金特別条項付個人再生の条件:住宅ローンに関する決まり
住宅資金特別条項付個人再生の手続を利用するに当たっては、住宅ローンについて以下の要件を満たしていることが必要です。
住宅資金貸付債権であること
住宅ローンは、住宅(戸建て、マンションのいずれも可)の建築・購入(戸建てであれば、建物だけでなく、敷地の購入も含む)のための借入であることが必要です。
事業資金の借入をして、住宅に抵当権を設定したような場合などは、対象外となります。
また、その借入について、住宅に抵当権が設定されていることが要件です。
住宅ローン以外の担保権が設定されていないこと
住宅ローン以外の担保権(抵当権など)が住宅に設定されている場合には、対象外です。
また、税金を滞納している場合や、マンション管理費を滞納している場合には、税金の滞納処分や、管理費滞納による先取特権の実行によって住宅を失う可能性があるため、制度の利用が困難になることがあります。
保証会社による代位弁済がされた場合
住宅ローンの返済を滞納し、保証会社が住宅ローンの債権者へ支払(代位弁済)をした場合には、住宅ローンの債権が保証会社に移ります。
この場合、保証会社による代位弁済から6か月以内に、裁判所に申立てをする必要があります。
住宅ローンの返済の軽減
住宅資金特別条項付個人再生の手続を利用する場合には、住宅ローン以外の借金は減額されますが、住宅ローンは減額されないのが基本です。
住宅ローンの滞納がなく、支払余力があるという場合には、住宅ローンの返済を継続するのがよいでしょう。
一方で、住宅ローンを滞納している場合や、減額した他の借金と並行して住宅ローンの返済を行うことが困難な場合には、以下のような「リスケジュール」の制度を使用することによって、返済の負担を軽減することができることがあります。
期限の利益回復型
住宅ローンの滞納額が一定に達すると、残金を一括で支払わなければならなくなるのが通常です。
これを「期限の利益の喪失」と言います。
これを元々の契約どおりに分割払いが可能な状態に復活させる方法が、期限の利益回復型です。
最終弁済期間延長型
期限の利益回復型では、月々の返済額が軽減されるわけではありません。
減額した他の借金と並行して、元々の契約どおりに住宅ローンを支払っていくことが難しいという場合には、住宅ローンの返済期間を延長して、月々の支払額を減額することができます。
これが最終弁済期間延長型です。
最終弁済期間延長型は、70歳になるまでに完済する内容である必要があり、かつ、延長できる期間は最大で10年間です。
元本一部据置型
最終弁済期間延長型でも住宅ローンの返済が難しいという場合には、元本一部据置型のリスケジュールを利用することが考えられます。
元本一部据置型とは、減額した他の借金の返済期間中(3~5年。原則3年)は、住宅ローンの元本の返済を一部猶予してもらうというものです。
そして、減額した他の借金を完済し、支払の余力ができた時点で、住宅ローンの月々の支払額を増やすというものです。
同意型
期限の利益回復型、最終弁済期間延長型、元本一部据置型の各制度は、住宅ローンの債権者の同意がなくても、適用を受けることができます。
同意型というのは、住宅ローンの債権者との交渉によって同意を得ることで、例えば、ボーナス払いをなしにしてもらう、70歳を超える返済期間の延長を認めてもらう、金利を見直してもらう、返済額を一部免除してもらうなどが可能となる場合もあります。
ただし、これは、あくまで、住宅ローンの債権者からの同意が得られる場合のみの対応となります。
実際には、交渉によってより有利な条件を認めてもらうことは、かなり難しいとお考えいただくのが現実的です。
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当事務所の民事再生(個人再生)に強い弁護士の対応料金
●初回相談料:無料
●民事再生(個人再生)の依頼
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