1 はじめに

「過去に自己破産をしたことがあるが、また多額の借金を抱えてしまったため、もう1度自己破産をしたい」
「1回自己破産をしたことがあるが、2回目の自己破産はできるのか?」
「2回目の自己破産をする場合、費用が高くならないか?」

当事務所では、上記のような2回目の自己破産に関するご相談をいただくことも多いです。

この点、1回目の自己破産をした際に、裁判官や弁護士から、「2回目の自己破産は、認めらないのが原則である」などと説明されたという方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、結論を申し上げますと、2回目の自己破産の場合であっても、一定の場合を除いては、借金の免除(免責)を受けられることが多いです。
ただし、2回目の自己破産は、注意を要する事案ではありますので、以下でポイントを解説させていただきます。

2 2回目の自己破産の問題点

自己破産は、法律上、回数制限があるわけではありません。
そのため、2回目の自己破産を申し立てること自体が禁止されることはありません。

しかし、破産法では、一定の「免責不許可事由」に該当する場合には、借金の免除が認められない可能性があるとされています。
そして、「自己破産による免責(借金の免除)を認める決定が確定してから、7年以内に自己破産の申立てをした」という場合には、免責不許可事由に該当するものとされます(破産法252条1項10号イ)。

【関連ページ】
●免責不許可事由

また、1回目から7年以上経過したあとの自己破産の申立てであり、上記の免責不許可事由には該当しない場合あっても、2回目の自己破産の申立ては審査が厳しくなる傾向があります。

このように、2回目の自己破産の場合には、1回目の自己破産とは異なるハードルがあり、難易度が高くなることが多いです。
しかし、実際には、2回目の自己破産についても、借金の免除(免責)が認められているケースが多数ありますので、2回目というだけで悲観的になる必要はありません。

3 2回目の自己破産であれば管財事件になるか?

自己破産には、同時廃止事件と管財事件があります。
同時廃止事件とは、裁判所により破産管財人が選任されることなく、比較的短期間で手続が終結する類型です。
管財事件とは、裁判所により破産管財人が選任され、破産管財人による調査、財産の管理・売却、債権者に対する配当などが行われる類型です。
管財事件になれば、破産管財人の報酬にあてる予納金(20万円~)を用意しなければならず、手続終結までの期間も長くかかる傾向にあります。

【関連ページ】
●同時廃止事件と管財事件

前述のとおり、「自己破産による免責(借金の免除)を認める決定が確定してから、7年以内に自己破産の申立てをした」という場合には、免責不許可事由ありとされますので(破産法252条1項10号イ)、管財事件となるのが通常です。

一方で、1回目から7年以上経過したあとの自己破産の申立ての場合には、20万円以上の財産があるとか、他に免責不許可事由があるなどの事情がなければ、当事務所の経験上、管財事件とはならずに、同時廃止により借金の免除(免責)を受けられているケースが多いと見受けられます。

例えば、1回目の自己破産はギャンブル・浪費が原因であったのに対し、7年以上経過後の2回目の自己破産は病気・怪我による失業が原因であるような場合には、同時廃止で終わる可能性も十分にあると考えられます。

これに対し、2回目の自己破産の原因において相当ルーズな収支管理が認められ、裁判所が「2回目の自己破産に至る経緯、経済的更生の可能性、反省の有無などを慎重に調査する必要がある」と判断するなどすれば、管財事件とされることもあり得るでしょう。

4 2回目の自己破産でも借金の免除(免責)を受けられるか?

2回目の自己破産の場合でも、前述のとおり、同時廃止事件に振り分けられることがあります。
同時廃止事件に振り分けられれば、比較的短期間で借金の免除(免責)を受けることができます。

管財事件に振り分けられた場合には、借金の免除(免責)が認められるかどうかは、破産管財人の調査・判断を経たうえで、最終的には裁判所が決定します。

免責不許可事由に該当する事実がなくても、20万円以上の財産を保有しているとか、自己破産に至る経緯の調査を要すると裁判所が判断したなどの場合にも、管財事件となることがあります。
この場合、破産管財人の調査において、免責不許可事由に該当する事実が発見されなければ、破産管財人が「免責不許可事由なし」との意見を出し、裁判所により借金の免除(免責)が許可されることとなるでしょう。

問題となるのは、免責不許可事由があるという理由で管財事件に振り分けられた場合です。
この点、免責不許可事由に該当する場合であっても、それほど悪質・重大なものではなければ、破産管財人の調査等に対する協力姿勢、反省の態度、経済的更生の可能性など、各種の事情を考慮して借金の免除(免責)が許可されることがあります。
これを「裁量免責」と言います。

例えば、1回目から7年以内に2回目の自己破産をした(よって、免責不許可事由あり)場合であっても、2回目は勤務先の倒産・リストラによる失職を原因とする自己破産であり、他の免責不許可事由がなく、自己破産をしたことに無理からぬ事情ありと評価できるのであれば、破産管財人の調査等に真摯に協力し、反省の態度を示すことにより、借金の免除(免責)が認められることが多いと考えられます。

5 自己破産以外の選択肢

例えば、1回目はギャンブルを原因とする自己破産であり、免責不許可事由に該当するものとして管財事件となったものの、裁量免責を受けることができたとします。
このような場合に、7年以内に2回目の自己破産の申立てをする事態となり、2回目の自己破産についても、その原因が免責不許可事由に該当するギャンブルであるとすれば、借金の免除(免責)が許可されない現実的な可能性があると言えるでしょう。

このように、借金の免除(免責)を得られない可能性が相当あると考えられる場合には、自己破産以外の選択肢も視野に入れるとよいでしょう。
借金・債務整理の方法には、自己破産以外にも、主なものとして、民事再生(個人再生)と任意整理があります。
個人再生や任意整理を利用する場合には、過去の自己破産歴は問われません。

個人再生と任意整理については、次の関連ページをご覧ください。

【関連ページ】
●個人再生に強い弁護士
●任意整理

6 弁護士にご相談ください

2回目の自己破産をお考えの方がいらっしゃいましたら、まずは当事務所にご相談ください。
当事務所では、これまでに、2回目の自己破産に関するご相談・ご依頼を多数お受けし、借金の免除(免責)を得た実績も豊富にございます。
ぜひ一度、お気軽に当事務所にご相談いただければと存じます。