債権者から訴訟(裁判)の提起や支払督促の申立てをされたことをきっかけに、自己破産等の借金・債務整理のご相談に来られる方が少なからずいらっしゃいます。
滞納の期間が半年以上など長期化していると、債権者から訴訟の提起や支払督促の申立てをされる可能性が高くなります。
この場合、弁護士に自己破産の依頼をし、弁護士から債権者へ受任通知(弁護士が介入した旨の通知書)が送付されると、訴訟や支払督促を取り下げる債権者も少なくありません。
債権者が取下げをすれば、訴訟や支払督促の手続は終了となりますので、あとは自己破産の申立てに向けた準備に専念すればよいということになります。
一方で、債権者が取下げをしないこともあり、その場合には自己破産の申立てに向けた準備と並行して、訴訟や支払督促の手続への対応を行う必要があります。
また、弁護士が介入して自己破産の申立てに向けた準備中に、債権者が訴訟を起こしてくることもあり、この場合には同様に訴訟の手続への対応が必要となります。
このように、訴訟や支払督促の手続を放置せずに対応しなければならないのは、裁判所により支払命令が出されてしまうと、財産や給料の差押えを受ける可能性があるからです。
なお、支払督促の手続への対応としては、具体的には「督促異議」という支払に応じない旨の意思表示をすることとなるのですが、督促異議を出せば、支払督促の手続は訴訟の手続へと移行します。
督促異議の期限は2週間と短いですので、注意が必要です。
訴訟の手続への対応としては、弁護士が債権者の請求を争う姿勢を見せながら、ゆるやかに手続を進行させ、その間に急いで自己破産の準備を進め、裁判所に自己破産の申立てを行うという対応が基本です。
そして、裁判所から破産手続開始決定が出されれば、その時点で債権者が訴訟を取り下げることがほとんどです。
なぜなら、破産手続開始決定が出されれば、債権者はそれ以降、破産者の財産や給料を差し押さえることができなくなり、免責(借金の免除)の決定により、最終的には債権を失うという結論になるためです。
以上のように、弁護士が適切に対応することにより、債権者がいずれかの時点で、訴訟や支払督促を取り下げることが大半です。
一方で、裁判所から訴訟や支払督促の書類が届いたにもかかわらず、これを無視していると、財産や給料が差し押さえられる事態になりかねません。
裁判所から訴訟や支払督促の書類が送付されてきたときは、すぐに弁護士にご相談いただくのがよいでしょう。