住宅ローンを組む際に、主たる債務者(借主)のほかに、1名または数名の連帯保証人を立てている場合があります。
このような場合に連帯保証人が自己破産をしても、主債務者が滞納なく返済を継続する限り、主債務者や他の連帯保証人には影響がないことが多いです。
しかし、主債務者が、住宅ローンの債権者(貸主)から、代わりの連帯保証人を立てるように求められる可能性があります。
その場合に主債務者が代わりの連帯保証人を立てられなければ、住宅ローンの一括返済を求められるおそれがあります。
そうなれば、主債務者や他の連帯保証人に影響が及ぶこととなります。
住宅ローンの連帯保証人になっている人が、他の借金の返済が不可能になったために、自己破産を検討することがあります。
このとき、連帯保証人になっているご自身が自己破産をすれば、主債務者や他の連帯保証人に迷惑がかかるのではないか?と不安になられるかもしれません。
自己破産の手続では、連帯保証債務も含めて裁判所に報告する必要があり、弁護士からの受任通知(弁護士が介入した旨の債権者宛ての通知書)および裁判所からの破産手続開始決定の通知により、連帯保証人が自己破産をした事実は債権者の知るところとなるのが通常です。
しかし、債権者としては、主債務者が滞納なく返済を継続する限り、実害を被るものではありません。
ですので、債権者からは特にアクションがないというケースも少なくありません。
一方で、債権者としては、連帯保証人が後ろ盾にいることを信用し、主債務者に対して融資を行ったことも事実です。
連帯保証人が自己破産をしたことを受けて、主債務者が、債権者から、代わりの連帯保証人を立てるように求められる可能性があります。
この点、民法450条2項には、保証人が支払能力を欠くに至ったときは、債権者は債務者に対して支払能力のある代わりの保証人を立てるように請求することができる、と定められています。
そして、民法137条には、債務者が担保を提供する義務を負う場合において、これを提供しないときは、債務者は期限の利益を主張することができない、と定められています。
ここに言う「担保」には連帯保証人(人的担保)も含まれ、「期限の利益」とは一括払いではなく分割払いでの返済にしてもらっている利益という意味です。
住宅ローンの契約書に、上記の民法450条2項・137条と同じ内容が確認的に記載されていることもあります。
要するに、主債務者が債権者から代わりの連帯保証人を求められたのに立てられなければ、住宅ローンの一括返済を請求されるおそれがあるということです。
そうなると、主債務者や他の連帯保証人が重大な影響を受けることとなります。
主債務者や他の連帯保証人への影響を心配するのであれば、代わりの連帯保証人をあらかじめ確保しておく必要があるでしょう。