以下のように、影響のあるものとないものがあります。
影響のあるもの
自分が所有する財産が一定の範囲のものを除いてなくなる
破産者が所有する自動車は、ローンが残っていれば(自動車の名義がローン会社等になっている場合)、原則としてローン会社によって引き揚げられてしまいます(銀行・信金等の無担保ローンで自動車の名義が破産者になっている場合には、自動車が引き揚げられることはありません)。
また、破産者が所有する住宅は、処分されてしまいます。
一定範囲の破産者所有の財産については、最大99万円までのものを手元に残すことができますが、それを超えるものは手元に残すことができません。
このように、破産者所有の財産が失われることで、家族の生活に影響が出ることが考えられます。
家族が保証人等になっていれば家族に請求が行く
破産者単独の借金であれば、家族に請求が行くことはありません。
しかし、家族が保証人や連帯債務者になっていれば、家族に請求が行くこととなります。
そうなれば、その家族に大きな影響を与えることとなり、場合によってはその家族も同時に自己破産等の借金・債務整理を行う必要が出てきます。
家族カードが使えなくなる
破産者本人名義のクレジットカードはもちろん、本人名義で作った家族カードも使えなくなります。
これは、破産者本人が信用情報(ブラックリスト)に登録されるためであり、5~7年間程度は、本人名義のクレジットカード・家族カードの使用・新規作成ができなくなります。
自分が新たな借入をできなくなる
信用情報(ブラックリスト)に登録されている間、破産者は新たな借入をすることができません。
破産者本人の名義で自動車ローン・住宅ローンを組むこともできなくなりますので、家族の生活に一定の制約がかかる可能性があります。
ただし、信用情報に登録されるのは破産者本人だけですので、家族がローンを組むことで対処できることもあります。
自分が家族の保証人になれなくなる
信用情報(ブラックリスト)に登録されている間、破産者は誰かの借金の保証人になることができません。
家族が融資を受けようとしても、保証人の審査に通らなくなるために、支障が出るということも考えられます。
自分が一定の職業について就業制限を受ける
自己破産の手続中は、宅地建物取引士、生命保険募集人、旅行業務取扱管理者、警備員など一定の職種に就くことができません(法律で定められた一定の職種のみです。多くの職種では、就業制限がありません)。
自己破産の手続が終了すれば、このような就業制限はなくなるのですが、一定期間仕事に支障が出ることにより、家族の生活に影響が出ることがあり得るでしょう。
影響のないもの
家族が所有する財産
破産者以外の家族の所有する財産が処分されてしまうことはありません。
処分の対象となるのは、あくまでも自己破産をした本人の名義の財産だけです。
ただし、破産者の借金について家族の財産に担保権(抵当権など)が設定されていれば、その財産は処分されてしまいます。
また、前述のように、家族が破産者の借金の保証人等になっていれば、家族に請求が行くこととなります。
家族の結婚
家族の結婚に制限がかかったり、不利益になったりすることはありません。
自己破産をしたことは、戸籍謄本等に記載されることもありません。
政府が発行する官報には自己破産の情報が掲載されますが、官報を購読している人はほとんどいませんので、第三者に知られる心配はあまりありません。
子どもの進学
子どもの進学に直接影響を及ぼすことはありません。
しかし、破産者名義の学資保険は99万円の範囲でしか保持できませんし、子どもが奨学金を借りる際の保証人になることができないという問題があります。
奨学金を利用する際には、他の親族等に保証人になってもらうか、機関保証制度の利用を検討することになるでしょう。
家族の就職・転職・仕事
一定の職種について就業制限があるのは、自己破産をした本人だけです。
自己破産をしたことで、家族の就職・転職・仕事に影響が出ることはありません。
家族の信用情報
信用情報(ブラックリスト)に事故情報が登録されるのは、自己破産をした本人だけです。
家族の信用情報には傷がつかないため、家族がクレジットカードを作ったり、借入をしたりすることは可能です。
ただし、金融機関によっては、同居家族が自己破産をしている場合には、審査に通らないというケースもあります。